10SKIN GEIDAI ANIMATION幾原監督トークショーお疲れさまでした

3/3の10SKIN GEIDAI ANIMATIONのトークイベントお疲れさまでした~。
大量のお蔵出しに新公開情報満載で、「聞いた話ばっかりなのかな~」と踏んでいた私は死んだ。

60分と長丁場だったこともあり、自分用にサマりました。その分ニュアンスが死んでいるので、あくまで参考程度で……。

下記のほかにも社内稟議用プレゼンの話なり、スポンサーとの付き合い方など新鮮な話が多かったのですが、そのへんはなんかアレな気配がしたのでカットしました!!!!

※2019/03/04 1:11に一部修正しました。


●前提とお断り


・すべて、段階は違えど企画書ベースに話が進んでいます。
・記憶の範疇にはなりますが、別資料に記載があるものや別イベントで言及されたものは(ほぼ)入れていません。

 


●アリスドラム&ピングドラム

・星野先生とは、2007年ごろに別企画で接触
・当初は原作付きの予定が、時が流れてオリジナル企画に変更。
・オリジナル企画も何度か変更されている。
・SFロボ(アリスドラム)の前にはボーイ・ミーツ・ガールモノだった。

・SFロボからペンギンになったのは「(動物が)得意分野」だから。
・星野先生の描いたプリクリ絵を起点に企画が進んでいった。
・プレゼン時もペンギンの可愛さ押しで通ったらしい。

・ピングは、ウテナ以降に監督がためていた(ボツ含む)企画がミックスされてできたもの。
・以前から「地下鉄もの」「ストーカーもの」という企画は存在していた。
・共感性よりも「意識の高さ」「かしこさ」を優先してしまっていた反省がいかされている。

・一緒に仕事をする人には「三歩進んで二歩下がる」ことをよく言っている。
・最初にいいなと思ったディティールなども、結局大部分を捨てることになるので、その徒労感に耐えられる人でないと厳しい。
・同じく、「トラブルを恐れると作品は作れない」とも言っている。


ユリ熊嵐

・「ユリ熊嵐」はプロデューサーと酒の席で出たタイトルで、初期から変わっていない
・当初は、それぞれ別の能力を持つ5人のクマの女の子の話だった模様。

ユリ熊嵐では「森島先生の世界」を借りている。先生以外にもクリエイターからいろいろなものを借りているが、すべて「自分が惚れていること」が大事。
・アニメーション制作は期間が長いため、飽きないことが条件なのでは。
・同じく、酒の席で出た企画が面白いと思っているが、それも飽きなければの話。ゴールすることが大切なので。

・タスク(目的)は常に変わっていく。
・若い頃は表現することが大事だが、ライフステージの変化などによりそうもいかなくなってくる。
・そうなったときは、(今の環境から?)距離を置いてみる。
・過去にできたことが、今できるとはかぎらない。

・(司会から売れ線の作品を作るかと聞かれて)「そりゃあ作りたいですよ!」
・周囲から「売れるように」作ってと言われることもあるが、どうも避けがち。
・外的要因を主体にして作品をつくると(例:人気漫画家などをフィーチャーするなど)、後から揺さぶられてしまうことが多いので。

 

<自分用のおまけ:ユリ熊初期の企画書にあるけど変更されている設定>

・銀子は「トゥルー・ベアー!」と叫ぶと変身する。
・銀子の首にはクマのタトゥーがあった。
・るるの名字が「雨野(るる)」
・妄想癖のあるコスプレイヤーで「るるのラブシアターを展開する」(これは既出かも)
・ユリ熊の未決定版キャッチコピー
>私達は「クマ」!
>それは誰にも言えない秘密。
>でも、私たちは旅立ちます!
・銀子の変身後と思われる「プリンセス・ハニー・デラックス」
・PHDの説明の一部「お前たちはきっと、熊嵐に喰われるだろう」
・ジャッジメンズはほぼビジュアルに変更がないが、ライフ〇〇ではなく、ベア◯◯
・クールとビューティーはそのままだが、セクシーではなくダンディー。決め台詞は「Lily, do it!」
※初期案は価値を共有するための企画書とのこと


●さらざんまい

・(司会から皿は放映されるんですよね?と聞かれて)「…ねぇ?」
※と言いつつ、ホンとアフレコは終わっているので、ストーリーの変更はもう(でき)ない模様。

・皿は「日本のローカル企画」が出発点。
・浅草になったのは、実際に行って、吾妻橋隅田川スカイツリーや雷門などをみて、モダンなものと古いものが共存し、それを過渡期として同じフレームに収められるのがいいなと思ったから。

・「つながる」という題材自体は、そんなに目新しいものではない。
・むしろ行為自体は日常において当然のものになってきている。
・しかし、その意味や、その後どこにいくのか、どうなっていくのかというところを描いていきたい。

・アリスドラム~さらまで、初期の企画書のイラストはほぼモノクロで発注(白黒という意味ではない)。
・それは、重要な要素である色を自分ですべて考えたいからとのこと。


●アニメーションとクリエイターのこれから

・メディアの形が劇的に変化していて、それはこれからも加速する。そのため、正直なところよくわからない。
・ただ、アマプロのボーダレス化が進むのではないか。観客にとっても、対象がアマかプロかは関係のないことなので。

・それよりも、面白いものをつくることを重視していきたい。
・また、10年後見ても面白いと思えるものに自分は関わっていきたい。
・ただ、自分の仕事はエンタメなので、「これしかやらない」という狭め方はしないほうがいいと考えている。

 

●質疑応答

Q:長いアニメーション期間中に、時代が変わってしまったことはないのか?
A:皿もそうだが、変化のスピードが早いぶん、古くなっていないかは注意している。
一度、軽い気持ちで取り入れたディティールが改めて見ると非常に重みを持っていたことがある。
古いと言われないように、今何が時代に合っているのかは常に意識している。

また、若い頃の作品が自分を変えてくれた経験があるので、若い人に向けて作っている。
長い間応援してくれるファンも、変わらず楽しんでくれるのでありがたい。


Q:音楽へのこだわりは?
A:一般的には共感性を獲得するためのもの。
ただ、自分自身は誰もやっていないことや、好きな音楽を使い続けている。
ここぞというときは、自分の得意球で勝負したいので。